シームレス床暖房
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開発者物語
プロの目が選んだシームレス床暖房システム


開発者物語――シームレス床暖房はこうして生まれた

●「ノーベル賞もの」の温水式床暖房を目指して

近年、住宅市場における床暖房設備の普及はめざましいものがあります。とりわけ、新築マンションや戸建て住宅においては、必須のアイテムになってきています。床暖房設備には、大きく分けて温水式床暖房と電気式(電熱式)床暖房の2種類があります。

床下に電熱線やヒーターなどを敷設して暖房する電気式床暖房に比べ、ランニングコストが低いため、温水式床暖房が急速に普及しています。しかし配管(特に継手部分)の破損や劣化に伴う漏水の問題がしばしば発生し、設計・施工者、メーカーの悩みの種になっています。

そうした中、25年近くも前から弊社は、漏水を起こさない画期的な温水式床暖房を開発・販売しています。床暖房設備の開発・販売を始めたのはもう30年ほど前で、始めは当時主流だった銅管を使った床暖房設備を取り扱っていましたが、漏水のクレームが相次ぎ、その対策に頭を悩ませていました。

電気式にするという手もありましたが、電気式は漏水を起こさない代わりに、一般的にランニングコストが高く付きます。また、温水式の方が電気式に比べ、熱の伝わり方がマイルドです。こうした温水式ならではの暖かさといった面でも温水式を継続することにしました。

しかし他社も含め、当時は漏水を起こさない温水式床暖房などは夢のまた夢で、業界内でも「そんな温水式床暖房ができたらノーベル賞ものだ」という冗談が出るほどでした。しかしだからこそ、弊社の渡辺は「何が何でもやってやろう。絶対に漏水を起こさないものでないと怖くて売ることができない」と決意し、「夢の温水式床暖房」の開発を始めました。

●画期的な発想 銅管の継手をなくす=シームレス

漏水の多くは銅管の継手部分で発生します。この部分が地震などによってずれてしまったり、温度差によるパイプ自体の収縮や建物の挙動に追随することで金属疲労をおこし、溶接した「ろう」が剥離してしまうことがあります。それにより、きちんと施工としたとしても、漏水が生じてしまいます。

この欠点を解決するには、継手をなくしてしまうしかない。弊社はそう考え、銅管に変わって、継手を用いずに使用できる材料を探し始めました。試行錯誤の中たどり着いたのが、多雪地域などで道路の溶雪用に使われている架橋ポリエチレンパイプでした。

橋ポリエチレンパイプはビニールホースのように柔軟性に富む上、自動車が何千台と通る道路の下に敷設されていることからもわかるように、耐久性にも優れています。

しかし銅管に比べ、若干コストがかかります。そのため、施工性を向上させて在工でコストを抑える必要があります。「限りなくよい品を、できるだけお安くお客様にご提供したい」。また困難にぶつかりました。

一ヶ月間考えに考え抜いた末に渡辺がひらめいたのが「床トピアパネル」。断熱材と一体化させ、表側にアルミ箔を張った600mm角、12mm厚の床トピアパネルは、独特の軌跡を描く溝が特徴で、この一枚でどんな不定型な部屋でもシームレス配管が可能になりました。
床トピアパネルを縦横につなげて敷設し、ここに後からパイプを挿入していく方式でした。

架橋ポリエチレンパイプは、今でこそ一般的な材料となりつつありますが、他社の製品ではパネル内にパイプなどを埋め込んだユニット式が大半で、弊社のような方式はありませんでした。他社の方式では、架橋ポリエチレンパイプを使っていても、結局ユニット同士をつなぐ継手ができてしまうため、漏水の不安が拭い切れません。保障も2年間しかありません。しかし床トピアパネルを使った方式なら、一本のパイプでシームレスな配管を実現しているので、パイプの折返しも、カーブした溝に沿って這わせるだけ。漏水の心配がなく安心なのです。

パネル自体はタッカーなどで留め付けることができ、またパネルはカッターで切断できます。施工しやすいうえ、どんな変形の部屋にも用意に対応し、パイプの通り道をさけて釘打ちすれば、フローリングの直張りも可能です。

また架橋ポリエチレンパイプは、金属管と違って内部に水垢などの残滓や錆がたまることもありません。正しく施工すれば、弊社の床暖房システムは基本的にはノーメンテナンスで長く使えます。

●「健康で快適な住まい」を追求して―むくフローリング

弊社では「健康で快適な住まい」が、製品開発・販売のコンセプトになっています。その一例として、床暖房システムの上に張るフローリングに当初からむく材を使用してきました。むくフローリング対応用に開発した渡辺式シームレス床暖房パネルであれば、乱尺フローリングとよばれる、バラバラの長さでも使用できます。最近ではシックハウス問題もあり、むくフローリングについて問い合わせが急増しています。これからはむくフローリングが主流になることは間違いないと確信致します。

また弊社では商品として販売する前に、必ずその製品を渡辺の自宅で使用し、安全性や使い心地などを実験して確認しています。「自分で実際に使い、問題がないと確信できなければ、安心して販売することができない」と渡辺は語ります。実際の生活で得られたデータこそ重要であり、それを製品に活かすことで本当に健康で快適な住まいをご提供できると考えているからです。

漏水のリスクをなくした、むくフローリングによる健康で快適な床暖房生活を、シームレス床暖房はご提案しています。

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プロの目が選んだシームレス床暖房システム    (有)アキツ設計一級建築事務所代表 加藤大和

●床暖房のリスク

設計者には、ある設備のシステム、製品を選択して採用する場合、通常、機能性、安全性、耐久性、施工性、価格、デザイン等々、総合的な判断が求められます。顧客にとって社会的(広義の意味)に何が“よい”のかを見極めなければならないという、結構たいへんなことをしていると自戒し、新しい情報、詳しい情報に精通していなければならないのです。

温水式床暖房についていえば、構造的には非常にシンプルなものながら、今日までそれほど普及しなかった理由は、“費用がかかる”、床下に温“水”が流れているという不安(漏水事故については、施工時・施工後どこかで必ずおこっているのが実情でした)、から、工務店が消極的だったと推察します。

床下の“水漏れ”というのは大変なトラブルです。設計者、工務店、メーカー、施主を含めどう対処するか大変わずらわしいことになります。できあがった床を再度壊して直すというのは、いうまでもなくい大変なエネルギーと費用を要することです。

大手プレハブメーカーでさえ、床暖房に限って直接契約をしないか保証しないというのが現状のようです。前述したトラブルから実を引いているといえます。

●「納得できるものに出会えた」と直感的に感じた

以前、友人の医者が家を新築するにあたり、是非とも“床暖房”を入れたいという、たっての希望に直面しました。その当時で一番信頼できる方式は何かと、資料、カタログを集めました。そのとき「これはいけそうだ」と直感が働いたのがシームレス床暖房でした。

さっそく詳しい説明を聞き、少なくとも水漏れに対しては絶対大丈夫である、と納得をしました。他にも私の床暖房への考えが一致し、感激を覚えました。さっそく工事進行中であった別荘でさっそく実施、体験をし、このシステムは現在最高だろうと確信したわけです。シームレス床暖房の特徴は次の2つにまとめられると思います。


1安全性(水漏れ)の解消
熱媒である温水が通るパイプが、架橋ポリエチレンパイプであります(阪神大震災に置いても、この管だけは破損被害はゼロであった)。そしてその管をヘッダーのジョイント(ここだけにジョイントがある。万一の漏水は考えられる)からジョイントへ放熱部のパネル内、及びCD管の中を通し、1回路を途中にいっさいの継ぎなく(シームレス)配管する。この大原則により、床下、床中の水漏れは“ない”といいきれます。また、その施行ができるシステム、というわけです。

2床暖房の快適さ
床暖房の快適さは、“低位輻射熱暖房”によるものですが、そのためにも部屋の床面積の80%以上の熱放射面積が必要になるといわれています。それができないと、俗に言う“島ができる”といわれる、床暖房パネルが入っているところと入っていないところの温度差が大きく、要するに熱い島が点在しているといった状態になり、実に不愉快なものになってしまいます。

この敷設率80%を部屋の形状に関係なく(廊下、円形、不定形を含めて)達成でき、しかも施工性の良さを加味して、スマートに解決しているのが、このシステムの最重要パーツである“床トピアパネル”です。

・いわゆる“合板捨て張りタイプ”という施工である。
・床トピアパネルはカッターで簡単に切断加工ができる
・床トピアパネルの材質はヒートマックスという特殊な断熱材で、93℃になるまで熱によるヤセがない。
・表面及び溝の中(直部のみ)にもアルミ箔が貼ってあり、熱媒の注水管をアルミテープで固定するので、熱を均一に面状に伝導する。
・パネルの溝にパイプを埋め込んで行けば、確実に間違いなく回路を完成させられる(リバースリターン回路)。
・床トピアパネルの固定にタッカー、釘などの使用ができる。
・材料が軽く、弾力性があり、寸法も600×600×12と小型なので、室内での作業が非常によい。
・パネルは切断と接続により無駄なく利用でき、現場での残材がきわめてない。同時に家の隅々までパネルを敷込むことができる。

上記に列記した特性から、現場の施工状況がイメージできる人はかなり温水床暖房に詳しい人と思いますが、一度実施に出会えば、こんなことかと、実に簡単なことに驚くでしょう。

基板の材料の選択、溝のパターン、アルミ箔張りなど、正直言って実にいろいろなノウハウが凝縮しています。

私の事務所はこの温水床暖房システムだけを採用しております。そして、実際に施工体験をして考えたことは、“床”を作るのは大工さんであって、床暖房設備も含め床を構成するものは、すべて大工さんに責任を持ってやってもらうのが一番安全であり、効率的な方法ではないかということです。

このシステムの持つ施工性の良さは、そこにこそあると考えております。温水床暖房設備機器(パーツ)を“建材”として扱ってもらう、という発想です。事務所が携わった物件は、これを実践しており、非常によい結果を出しております。

現在、30年の耐久保証を約束し、床暖房の快適性を十分提供できるのは、このシームレス床暖房システムだけではないかと思います。

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